ストーン・リバー

長谷川豊の差別発言

●「週刊金曜日」1234号（19.5.31）より

ネット等の情報で確認できたことは、以下のとおり。

2月24日、東京世田谷区の講演会で差別発言をする。

5月15日、YouTubeに動画がアップされ、批判される。

5月20日、長谷川氏が返信。

5月21日、部落解放同盟が維新の会に抗議文を出し、維新の会が処分すると言う。

5月22日、長谷川氏が「全面謝罪、完全撤回する」と態度を一変する。

5月23日、日本維新の会が長谷川氏を当面、公認停止にする。

　5月24日、AbemaTVの直撃インタビューを受け「差別的な意識はなかった。無知です」などと答える。
　 5月27日、維新の会が第三者委員会で意見を聞き、処分するとの方針を発表する。

いわくつきの人物のトンデモ差別発言で、弁明の余地はない。
荒唐無稽ともいえる発言をマジにやるのだから、この人の辞書には「人権」という言葉が欠落しているのだろう。
「知らなかった」「無知でした」「スミマセンでした」で済む話ではない。
発言に至った背景事象をつまびらかにし、その意味を問うことが必要だろう。
そのためには、彼自身に語ってもらわねばなるまい。
「公認停止」「第三者委員会」などという、間の抜けた「維新」の対応も問題だ。
まさにこれは、部落解放同盟の出番だろう。
事態をコントロールし、筋の通った対応で問題を裁いてほしい。

新聞切り抜きから

●「北國新聞」5月26日（朝刊）より
●「朝日新聞デジタル」5月26日より
アメリカは何をしてもイインカイ？
トランプが来日のさ中のニュースだが、知った人は少なかろう。
隣りの「かの国」が飛翔体を飛ばしただけでも、ヤイヤイ言う首相も何も言わない。
本当にこれでイインカイ？

●「読売新聞」5月29日(朝刊）より
司法の限界ではなく、司法の放棄だろう。
何を忖度することがあるのだろう？
堂々と正論を押し通せばいいはずだ。
情けない。

右側下から3段落の最後の行にこうある。
60歳代の女性の義姉は、「令和の時代においては、何人も差別なく幸福を追求することができる社会となり得るように」などとする判決の「付言」に違和感を持った。「いつの時代でも差別のない社会は当たり前で、線引きするのはおかしい。納得できない」と悔しさをにじませた。

裁判官は「令和」に事寄せたつもりなのだろうが、その悪質な意図が見事に暴露されている。
裁判官が裁かれている構図そのものだ。

●「読売新聞」5月29日（夕刊）より
やっと「森友裁判」が始まった。
10月結審だから、遅くとも来春には判決だろう。
展開に注目したい。

布川事件、国賠で勝訴！

●「読売新聞」5月28日（朝刊）より●「朝日新聞」5月28日（朝刊）よりすごい！やったね！
証拠非開示は違法と断じ、取り調べの違法性も認定、さらに除斥期間も再審無罪確定時とするなど、画期的を超えた歴史的な判決だ。
検察や国はコテンパンだ。これで、控訴などの暴挙はできないはずだが、油断はなるまい。
ともあれ、冤罪被害者にはまたとない励ましとなった。
全ての裁判官は、この判決をしっかり読んで、教訓にしてもらいたい。
もちろん、後藤眞理子裁判長も。

石川一雄＆中山千夏講演会

大阪市立港区民センターで開催された講演会。地元でもあり、パスはなし。
第1部の最後、カオリンズのライブの途中からの参加となった。会場はほぼ満席、よく入ったなあと感心する。
最後の歌は、パギやんも出てきて、「真実・事実・現実あることないこと」を会場も一緒に熱唱。
休憩後、一雄さんが登壇。別件逮捕され、身の覚えのないことだと否認する。
しかし、兄の六造さんを逮捕すると脅され、兄を疑っていたこともあり、そらなら自分がと「自白」に転じた、そのいきさつを語る。
一雄さんの心を巧みに操り、まんまと罠にはめた警察のあくどさとともに、それを見抜けずに殺人犯の汚名を着せられた一雄さんの無念を思う。
話のメインは、獄中で刑務官から文字を押してえもらったこと。
一雄さんの無実を確信し、職を賭して支援してくれた刑務官夫妻があったからこそ、今日があると。
今も「親戚」同様の付き合いをし、一雄さんの無罪を支援しているという。
今だから言える話だが、まさしく、こういう人々があってこその狭山闘争なのだ。
話はさらに、仮出獄の身の不安定さにおよび、電車に乗るときは座らす、片手は吊皮、片手はバッグが決まりだという。
まかり間違って、「痴漢」冤罪となれば、刑務所に逆戻りとなるからだ。
日常生活では、事件や事故に遭わないよう、細心の注意を払っているともいう。
一雄さんの「夢」は、冤罪が晴れたら「夜間中学」で机を並べて勉強すること、そして、両親の墓に手を合わせることだ。
9月には40回目の三者協議があり、その後が「勝負」になるだろうともいう。果たして、夢の実現に向けて舞台が転換するのかどうか。
それは、ひとえに世論にかかっている。
そして、それを興すのは私たちの仕事だ。

元号訴訟

●週刊金曜日」1232号（5月17日）より
第1回公判：5月31日（金）11時～、東京地裁522号室

糾弾に値する差別発言

●「読売新聞」5月24日（朝刊）より

一体、どこからこんな荒唐無稽な話を思いついたのか？しかもそれを人前で堂々としゃべるとは？部落問題を知らないにもほどがある。差別意識のかたまりとしか言いようがない。

この長谷川氏は、3年前にも「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ！無理だと泣くならそのまま殺せ！」との差別暴言もしており、札付きの差別者といってもいい。ネットで問題になっても、「史実を述べる事が貴殿には差別発言ですか」「悪意を持ってレッテル貼り」などと居直った。ところが、一転して「全面謝罪、完全撤回」に追い込まれた。

もう人としてアウトといっていいが、こんな人物を参院選の公認候補にしている「日本維新の会」の責任も大きい。「保留」？松井氏の人権感覚も相当なものだ。

狭山「意見広告」

5月23日の「朝日新聞」朝刊（首都圏版）10面に掲載された狭山意見広告。

狭山「市民アピール・デモ」いん・とよなか

明日(5月23日）は、石川一雄さんが不当逮捕されて56年の日。それを前に豊中では恒例のデモを行った。日が長くなり、西日を受け、長い影法師と共に40分歩いた。シュプレヒコールが気持ちのいいくらい響き渡った。

「無言館」、かくして生まれた

本館と第二展示館をしっかり見ようとしたら一日がかりになるだろう。今回はそうした心づもりがなく、90分くらいの駆け足の見学になった。それでも思い返すと、いろんな印象が蘇ってくる。それほどインパクトがあるということだ。

で、この機会に買ったのは、「無言館　戦没画学生たちの青春」と「無言館　戦没画学生『祈りの絵』」の2冊（著者はいずれも窪島誠一郎）。前者は、「無言館」建設に至る道程がメインテーマだが、それと共に著者の半生の検証・追憶が重ねられていて、とても興味深い。後者は、戦没画学生31名の遺作50点とそのエピソード集が収められている。前者に登場する画学生の作品を後者で確認することができ、紙上での「無言館」の再現になる。

以下、前者について拾い読みする。

１．きっかけ

1977年、偶然に野見山曉治著「祈りの画集」（NHK出版）を手にしたことに始まる。そこには野見山氏と同じ年代に東京美術学校に在学し、卒業後出征して帰らぬ人となった画学生たちの遺作やプロフィルが紹介されていたが、そのときは歴史的事実を思いうかべただけで、それ以上の感慨も感傷もわかなかった。また、絵が稚拙で未消化で未熟に思えたこと、戦争と芸術を結び付けて考えたくなかったこともあり、書棚に収まったまま時間が過ぎて行った。

野見山さんは1943年に繰り上げ卒業・出征するが、肋膜を患って入院・復員し、生き残った。戦後30年、NHKの企画で絵筆を銃にかえて死んでいった同級生の遺族を訪ね、それが「祈りの画集」となる。忌まわしい戦地体験の記憶と、慚愧に堪えぬ思いを抱き続けてきた野見山さんの心情が切々と綴られている。

２．はじまりの一言

事態が転換したのは1995年の冬、窪島さんの「信濃デッサン館」で行っている「槐多忌」のゲストに野見山さんを招き、別所温泉での歓談したときだった。

野見山さんは「全部の遺族のもとを歩きたかった」「いつかかならずかれらの絵をあつめて展示する施設をつくりたいと約束をした」「今、かれらの絵がどうなっているかと思うとやりきれない」と言い、窪島さんが「ろくに戦争体験ももっていない人間には、何だかひどく遠い時代の古びた絵のように見えてしまうんです。何も語らない、何もうったえてこない、単なる画学生の習作のように見えてしまう。仕方のないことかもしれませんが」というと、野見山さんは、「たしかに一点一点の絵はそうかもしれないね。だけど、そんな絵がぜんぶ勢揃いしたふしぎな迫力があるような気がしてならないんですよ。とにかくかれらは生きたかったにちがいない。生きて絵を描きたかったにちがいない。そうした思いが何十点も集まれば、きっと何か、ぼくたちの想像をこえた大きな声になってきこえてくるような気がする」と。

窪島さんはしばらくだまったあと、「先生が考えているような美術館が、本当にどこかに実現できたらいいですねぇ･･･ご遺族もさぞよろこぶでしょう･･･もし、ぼくでよかったら、そのお手伝いをさせていただけませんか」「先生が20年前にめぐった同級生のご遺族の家を、もう一度ぼくといっしょに歩いてみましょう」と夢遊病にでもかかったように、胸のおくに何か灼いものがこみあげてくるのを感じながら申し出た。この一言からすべてははじまった。

そして、窪島さんは自分がそれまで「戦争」から眼をそらして生きてきたことに気づかされ、物やカネを追い求めるだけの日々、「戦後」の生のありようを見つめることになる。

３．ご遺族めぐりの旅と葛藤

こうして二人三脚の旅がはじまった。東京芸大の学籍簿やNHKから取り寄せた資料などを頼りに手紙をご遺族のもとに出すが、すでに戦後50年が経過し、宛先不明で多くが戻ってきた。1994年4月、ようやく連絡がとれた伊澤民介氏宅を栃木県に訪ねる。1943年にニューギニアで26歳で戦死した画学生伊澤洋氏のお兄さんだ。

部屋のすみに二点の油絵がならんでいた。一点は一すじの道をグレーと緑青色を基調にして描いた風景画で、もう一点は伊澤家の団欒を描いたと思われる家族の絵である。「こっちの風景は、洋が召集令状をうけとった翌日に描いた絵です」「この絵を描いていたとき、本人はもう生きて帰れぬことも少しは覚悟していたのかもしれませんなｧ」と民介さんはいった。

家族の絵についてはこういう。「これは洋の空想ってもんでしょうな。あの頃のうちの家は、朝から晩まで百姓仕事に追われて、こんな生活の余裕はありませんでしたからなｧ。洋はきっと、心の中でこんな一家団欒の風景にあこがれていたんでしょう」と。そして、じつはこの「家族」は、出征前日に洋さんが塗りつぶそうとした絵なのだという。

茨城県の高橋助幹さんのご遺族、助幹さんの一番上のお姉さんは、「もう私たちは長くはない歳ですからねぇ、あと何年、助幹の絵を守ってゆけるやら知れません。･･･今度のクボシマさんの美術館のことを知って、じつのところホッとしているんです。ようやくこれで安心して死ねるって･･･」と。

ご遺族めぐりの旅について、窪島さんはいう。「ただ単に画学生の遺作や遺品をお預かりしてくるだけならかんたんなのだ。でも、長い戦後の歳月をずっとその作品とともにすごしてきた遺族にしてみたら、そんなにかんたんに片付く話ではない。絵を奪われる前に、きいてもらいたいことや知ってもらいたいことが山ほどある。その結果、私は否応なく自分がなおざりにしてきた『戦争』というものにあらためてむかいあわされるのだ。ああ、自分はそのことも知らなかった、そんなことさえ知らなかった、の連続なのである」

「大事にされていた絵をお預かりしてくる作業は、何だか自分をひどく不当な掠奪者のような気持にさせるのだった。いったい自分という人間にこんなことをする権利、資格があるのだろうか。戦争の何たるかも知らず、苦労をかけた養父母に親孝行一つするわけでなく、ただただ戦後繁栄の享楽にどっぷり首までつかって生きてきた五十路の中年男が、野見山さんにさそわれて付け焼刃のように遺作収集を開始しただけの話なのだ。そんな自分に、ご遺族のもとからむりやりカサブタをはがすようにかれらの絵を奪ってくる資格があるのだろうか。その家をお訪ねしても、私の心の中にはそんな重苦しい気分がただようのである」と。

４．戦後50年の重み

北九州市小倉に1944年長崎県大村市の海軍航空廠で戦死した佐久間修さんの妻・静子さんを訪ねたときのことだ。ベッドのすぐわきの壁に二点の絵が飾られていた。すでに変色して朱茶けている古びた画用紙に描かれた裸婦のデッサン、それと着物を着た可愛らしい女性の顔を描いたサムホールの油彩画である。どちらも若かった頃の静子さんであることがすぐわかる。形見の品々を含めて、「将来私たちが計画している美術館にお預け下さいますか？」と尋ねると、「はぁ･･･それは･･･もう私もこの歳ですし、私が死んだらこの品々もどうなってしまうかわかりませんから、もし預かっていただけるのでしたらよろこんで･･･」と言う。

しかし、静子さんは二点の絵のほうにはまだ未練があるようだった。何しろ五十年もの間ずっといっしょに暮してきた絵なので、なかなか踏ん切りがつかないのだという。未練というより、それはこれまでの静子さん自身をささえてきた心の糧にかかわる問題であるかもしれない。「何ヶ月かしたら、もう一どお訪ねしたいと思っていますから、どうかそのときまでにお気持ちを整理しておいてください」といった。

５．「お金」は？

やがて、二人三脚から一人旅になり、ご遺族訪問を続けたが、その頃頭は「お金」のことでいっぱいだった。建坪八十五坪のコンクリート打ちっ放しだが、額は一億円近くになっていた。「信濃デッサン館」の経営だけでもぴいぴいの状況で、もう一つ新しい美術館をつくるというのは正気の沙汰ではないのだった。

「お金は大丈夫かね」と心配する野見山さんに、「何とかなりますよ」と答えていた。そのときは、人気画家のコレクションを何点か売却すれば建設費の半分くらいはつくれるだろうと考えていた。しかし、売却話はうまくいかず、一億円もの建設費をヒネリ出さなければならなくなった。

しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、地元のH銀行支店長から協力（融資）の申し入れがあり、数日後には、地元上田市から建設用地として「信濃デッサン館」東隣の市有地を提供したいとの申し出があった。そして、数ヶ月前から始めていた「戦没画学生慰霊美術館建設支援」の募金への反響があらわれ、全国から芳志金が届くようになった。

窪島さんはインタビューを受けたときに決まって言う。「私は野見山先生たちが五十年間沸かしつづけてきたお湯で、インスタントラーメンみたいにたった三年間で美術館をつくろうとしている人間なのです」と。

６．「無言館」とは？

　最後に、「無言館」のリーフレットの「あいさつ」文を紹介します。

ごあいさつ

　戦争中、数多くの若い生命が戦地に駆り出され、戦場のツユと消えました。

　そうした中には、画家になることを一心に夢み、生きて帰って絵を描きたいと叫びながら死んでいった一群の画学生たちがおりました。当時の東京美術学校（現・東京藝術大学）、現在の武蔵野美術大学、多摩美術大学にわかれる前の帝国美術学校に在籍していた学生、あるいは独学によって絵を学んでいた前途ある絵描きの卵たちです。これらの学生たちは、厳しい飢餓と死の恐怖にさいなまれながらも、最後まで絵への情熱と、生きることへの希望をうしなわず、その思いを一冊のスケッチ帖、一枚の画布にきざんで死んでゆきました。そこには、絵筆を銃に替えて生きねばならなかったかれらの無念と、同時に、人間にとって絵を描くということがどれだけ至純な歓びにみちた行為であるかを物語る、ひたむきな生の軌跡があったと思います。

　この戦没画学生慰霊美術館「無言館」は、そうした画学生たちがのこした作品と、生前のかれらの青春の息吹きをつたえる数々の遺品を末永く保存、展示し、今を生きる私たちの精神の糧にしてゆきたいという希いをもとに、1997（平成9）年5月1日「信濃デッサン館」の分館として開設されたものです。

どうか、このささやかなる施設において、少しでも多くのかたがたの眼に、かれらの初々しい熱情にあふれた作品がふれることをねがってやみません。

「無言館」館主　窪島誠一郎

サンデー毎日

「三鷹事件」の第2次再審請求審は、狭山事件と同じ東京高裁第4刑事部（後藤眞理子裁判長）が担当している。
まもなく「判断」が出るが、獄死した竹内景助さんの死後再審はなるのか？
「狭山」とも連動するはず。しっかり、注目したい。