師走の前日(11月30日)の京都は、風がない穏やかな一日だった。名残の京の秋を惜しむかのように、人々が街を行き交う。青蓮院を覗くと、もみじが真っ赤に燃え、傍らでは椿が咲き、見事なコントラストを呈していた。院内から庭を見ながらぐるっと一回りしていると、履き物を脱いだこともあって、足元からジワリと冷えてくる。晩秋の京都らしさだ。
京都会館では、2年ぶりの都はるみコンサート。築50年の歴史を刻んだ館内は、今流行りの風情はなく、懐かしいいくらい簡素だ。「アンコ椿は恋の花」から「小さな春」まで、歌い継いできた「名曲」の数々を噛み締め、確かめるように熱唱した。全身を使って声量豊かに歌い上げる「はるみ節」が醸し出す「はるみワールド」は、見事の一言に尽きる。
南座では、京の師走を彩る「吉例顔見世興行」が初日を迎えた。休演した「市川海老蔵」のまねき看板はそのままにあるのが、痛々しいが、「事件」が人々を招いたのか、満員の盛況ぶり。

世界でも日本でも、私たちの今日を、明日を揺るがしかねない事件が続発しているが、時々刻々、それぞれにそれぞれの時を刻んでいく。右往左往しても、ジタバタしても、思い煩っても如何ともし難いことは多々あるが、それでも人は生きていく。そう、私も時にはあくせくしつつ、時には能天気に、時には必死に生きている。
2010年の最後の1ヶ月もかく過ぎ、かくあらんか?
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