
2月4日、箕面市立南小学校で豊能地区人権教育実践交流集会が行われ、「人権・部落問題学習」の分科会で、第五中学校が1年生(57期生)の温泉チームの「おふろからまちが見える」と題した一連のとりくみを、五中の藤森さんと協会の酒井さんが報告しました。
最初に藤森さんが、酒井さんから轟温泉の成り立ちや経緯、現状、そこにこめられた地域の人たちの思いなどの聞きとりをおこない、その後、轟温泉と市営住宅1・2棟のフィールドワークをし、1学期の総合学習発表会でその成果を紙芝居で発表したこと、また、「夏まつり」ではバザーを行い、その売り上げで背もたれつきのイスを二つ、轟温泉に贈ったこと、11月の「ふれ愛子どもカーニバル」では温泉寄席をとりくみ、成功させたこと、事後学習で再度、酒井さんから話をしてもらったことなどを報告しました。
酒井さんからは、この間、五中と一緒に「夢バトン・はみごのないまちづくり」を合言葉に部落問題学習をとりくんできたこと、轟温泉や住宅、人権まちづくりセンターをはじめ、出会う地域の物や場所には「はみごのないまちに!」という地域の人の思いや願いがこめられていることを生徒に伝えたこと、また、「夢バトン・はみごのないまちづくり」の根っこには、「どこで生まれたとか、どこで育ったとかで、人が人を差別するのはおかしい」という思いがあり、それは部落解放運動とかさなっていることなどの話がありました。

校区に被差別部落のある同和教育推進校で部落問題学習をするのは当たり前のことですが、今日ではそうではなくなってきています。同和対策事業によって部落差別の実態が改善され、部落解放運動やさまざまな人々の努力によって部落問題への認識と理解が深まりました。結果、部落差別はかつてのような厳しさがなくなり、あからさまな差別に出会うことも少なくなりました。だから、あえて「部落」とか「差別」とか「運動」とか言わなくてもすむこともあって、地域から「部落問題にはふれないで!」という声も出てきています。もちろん、部落差別に出会うことなく、そのまま幸せにくらせればいいと思いますが、部落差別はなくなったわけではありませんから、いつ・どこでふりかかるかもわかりません。だから、部落であれ、部落外であれ、部落問題学習はきちんとすべきです。
その意味では、五中は同和教育推進校であることをふまえ、部落問題を五中教育の中心にすえて、こうしたとりくみを続けていることにとても力づけられます。
また、これまでは「部落」や「差別」のことを教えるのが部落問題学習だと考えられてきました。言葉や知識を教えたり、与えたりすることは、ある意味ではかんたんです。しかし、それによって子どもたちが部落問題をきちんと理解することができてきたのかを振り返ると、必ずしもそうはなっていません。言葉だけ、うわべだけの理解にとどまっている場合が少なくありませんでした。問題は、「差別っておかしい!」という感性をどう身につけ、ジブンゴトにできるかということです。そのためには、頭だけではなく、身体と心で、体感し、同感し、共感するような部落問題学習が必要です。
表現活動などを通して身体でくぐることを大事にしている五中のスタイルは、その一つのモデルだと思います。そして、報告された57期生のとりくみも、地域の「名所めぐり」で終わるのではなく、その先に部落問題をみすえたものとして計画されており、人や建物は部落問題の生きた教材としてあります。

また、部落問題学習が難しくなってきている事情の大きな原因の一つに、地域の運動が弱くなっていることがあります。かつては、学校や保育所に「部落問題をわかってほしい!」と、熱い思いをぶつけてきましたが、今はそんな姿はなくなっています。だから、学校や保育所も部落問題をとりあげなくてもすむようになっているし、たとえ、やろうとしても協力が得られないこともあります。そうしたことから、今や学校だけでも、地域だけでも部落問題学習はできにくくなっており、お互いが力を合わせることが不可欠になっています。
五中と私たちは、この間、部落問題を真ん中にした新しい関係でつながってきました。今回の報告も学校と地域と一緒におこないましたが、こんな協力関係ができているところはめずらしいのです。これを大事にして、さらに前にすすめていきたいと思いました。