三寒四温もいつの間にか過ぎ、桜も散り、春真っ盛り。でも、今日の大阪は上着の背中が汗ばむ初夏の陽気。まちは、平穏そのもの。行きかう人々の胸を去来するものを読むことはできないが、悲喜こもごも、さまざまな思いが詰まっているのだろう。でも、好天の休日のひとときをを愛でる心はまだあるのかもしれない。
空は蒼く、白い雲が映え、日差しは身体の芯を熱くし、風は心地よく頬をなぶfる。今、この時、この場所に在って、生きていることを感じる。人は生かされ、生きている。そして、生を創る。
あかるい娘ら
わたしの心はかなしいのに
ひろい運動場には白い線がひかれ
あかるい娘たちがとびはねている
わたしの心はかなしいのに
娘たちはみなふつくらと肥えていて
手足の色は
白くあるいはあわあわしい栗色をしている
そのきやしやな踵(かかと)なぞは
ちようど鹿のようだ
『中野重治詩集』(岩波文庫)より