「全国の仲間からの声 狭山再審開始を求めて」の連載がスタートし、私の投稿も掲載されました。
この間、何度か機会をとらえて発言してきたことが活字になりました。しかも「解放新聞」にです。願わくは、ドシドシ提案や提起がなされ、これまでにない取り組みにつながってほしいと思います。言いっぱなし、書きっぱなしにだけはしてほしくありません。具体的かつ画期的、天地をひっくり返すほどの方針に結実することを期待したいと思います。
「袴田決定」に見る冤罪弾圧を跳ね返し、狭山第3次再審を勝ち切るために
よもやと思ったが、6月11日、東京高裁第8刑事部(大島隆明裁判長)は、袴田事件の再審開始決定を取り消した。司法権力のおぞましさを見せつけられた気がするが、狭山や他の冤罪事件に波及することは必至で、危機感が募る。
今まさに、狭山は敗北の歴史にピリオドを打てるかどうか、55年の闘いが真価を問われる場面にある。隘路を切り拓くためには、東京高裁を揺るがす世論のうねりが必要で、その仕掛けをすべきだ。
一つは、「意見広告」だ。お金がないからやらないのは問題の立て方が間違っている。署名をしてくれた100万人を超える人たちに訴えれば、一人100円でも1億円になる。この単純計算を現実化するのが「意見広告運動」で、誰でも・どこでも参加できる。先般、別団体による意見広告が毎日新聞に掲載されたが、インパクトがあったし、「反響調査」の153人のコメントを見れば、効果があったこともわかる。やはり、全国紙にやるべきだ。
もう一つは、インターネットを駆使した情報発信の強化だ。今やこれなくして運動は成り立たないと言ってもよく、即座にやるべきだし、できるはずだ。
確定判決の有罪の根拠は、弁護団によってすでに覆され、まともな反論ができない検察を圧倒している。証拠やリストの開示は必要だが、検察官の時間稼ぎに付き合うのでなく、裁判長に鑑定人尋問を強く迫るべきだ。「下山鑑定」や「福江報告書」という武器を手にしている今こそ、畳みかける時だろう。
後藤眞理子裁判長は2020年6月23日に定年退官を迎えることから、来年の「5.23」あたりが山になるだろう。この機を逸すれば、もうチャンスは巡ってこないかもしれない。部落差別に基づく権力犯罪を暴き、石川一雄さんの冤を晴らさずして水平社100年はない。今ここで持てるもの全てを惜しみなくつぎ込むべきだ。
これだけ注目された袴田事件で暴挙をやるということは、誤判・冤罪は認めないという司法権力の意思が並ではないことを示しており、再審の扉の前に大きな壁が立ち現われたと言える。もはや既成の対応・方針は通用しない。非常事態宣言を発し、これを突き崩す新しい方針を打ち出すために「狭山人(さやまびと)」の知と力を集めるべきだ。
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