2018年3月3~4日、東京・虎ノ門「消防会館」を主会場に開催された大会で大きく取り上げられたのは、2016年12月に施行された「部落差別解消推進法」の評価と具体化をめぐる問題だった。それを象徴するのが自由民主党幹事長・二階俊博の出席だと言える。
定刻にやや遅れた二階氏を鄭重かつ最大の敬意を払って迎えた同盟中央本部の対応に全てが凝縮されていると感じた。「ここまでやるか」という印象は否めない。もちろん、分散会でも代議員から、憲法改悪を進める党に対する対応としてはいかがなものかという意見が出された。しかし、法制定に尽力されたことに対する「礼」であるとの見解が示され、問題視することはないとされた。
「法」制定が、解放同盟の牙を抜くことになりはしないかという危惧は、少なからぬ人が抱いていることだ。果たして、それは杞憂に終わるのだろか?
かつて「同対審答申」が出たとき、これは「毒饅頭」だという意見と、これを武器として活用すべきだという意見があった。「部落差別解消推進法」をめぐる問題でも似通ったことが言えるだろう。おおざっぱに言えば、「毒饅頭」の部分もあったし、有効な「武器」となった部分もあった。
中央本部は、不十分な法律だが、それを使うことで、その不十分さを明らかにしていくという方針のようだ。現実に成立し、施行されている法律を無視することはできないから、現実的な対応としてはこれしかないだろう。しかし、それが結局は、自民党の思惑通りになりはしないかということだ。
個別の人権課題についての個別の法律をつくるというのが自民党の方針で、「部落差別解消推進法」もその一環だ。個別対応と分断である。だから、大会では当事者団体と連携・共闘し、自民党が拒否している「人権侵害救済法」制定に向けた運動を展開するとの方針も示された。
私が思ったのは、「特措法」失効から16年、部落問題の解決に向けた課題は何かということを明らかにし、その克服のための取り組みをどうするのかということだった。しかし、そうした議論は起こらず、目先の問題に終始したきらいがあったようだ。