4月5日の活動者会議で千葉の方が、第27回三者協議での裁判長の態度について質問したが、それに対して、中北弁護士が証拠開示に関わって、「『証拠物一覧表』のうち、高検所有のものは交付されているが、警察のリスト(『証拠金品総目録』というのがある)を求めている。これは今まで前例がないし、裁判所も動いていない。」と言った。
それで思い出したことがある。
かつて「情報公開法」を使って開示を求め、最後は裁判で争ったことをだ。もちろん、結果は「敗訴」。一文字たりとも出さないのというのが奴らの方針だった。黒塗りのTPP文書の上をいく。
「領置票」というのもあるが、これは証拠品の履歴の記録だ。いずれも「証拠品事務規程」で作成が義務づけられているものだ。仮に、これらが開示されれば、それこそ「すごい」ことになるはずだ。
蛇足だが、2003年10月17日の最後の口頭弁論をこう締めくくった。
―最後に、私は「狭山事件」の支援運動にかかわり、無実を訴え続けている石川一雄さんの冤を晴らしたいとの想いに触れ、この間、何とかしてその道を開くすべはないかと求めてきました。行き着いたひとつが情報公開法による関係文書の公開請求でした。もとより、冤を晴らすためには再審・無罪という司法手続きによるべきことは論をまちませんが、これを阻む法制度の壁はとてつもなく厚く、容易には切り開けないのが現実です。私のアプローチはこれとは違った角度からこの問題に迫ろうとするもので、その意味では新しいものだと思います。だから、被告が危惧するように、不開示決定が取消されることになると、「狭山事件」の再審審理に影響することは火を見るよりも明らかです。しかし、たとえそうだとしても、本件は情報公開法が規定するところにより厳格に審査・判断されるべきことは言うまでもありません。
証拠隠しを合法とする現在の刑事手続きは遅かれ早かれ改正されるべきですが、情報公開法による公開請求というもう一つの道も開かれてしかるべきだと思います。それはひとり「狭山事件」の石川一雄さんの個人的利益にとどまらず、冤罪に陥し入れられ、呻吟し、無実を訴えている人々の命にかかわる公益に直結しています。本件訴訟はそのような位置にあることを改めて確認し、裁判所の英断を求めたいと思います。―
それから12年余(2015年1月)、ようやく一覧表の一部が開示されるに至った。もちろん、「情報公開法」に基づくものではなく、いわば検察の「恣意」によるもので、手放しで歓迎はできない。開示・公開させるためには、様々なアプローチがこれからもまだまだ必要だ。