「証拠捏造の動機あった」 「袴田事件」弁護団、検察側に反論
@S[アットエス] by 静岡新聞 10月24日(金)7時58分配信
1966年の「袴田事件」で死刑判決が確定した元プロボクサー袴田巌さん(78)の再審開始決定に対する即時抗告審で、東京高裁と東京高検、弁護団による2回目の3者協議が23日、高裁であった。「警察による証拠捏造(ねつぞう)はあり得ない」とする検察側に対し、弁護団は「捜査機関には捏造の動機や必要性があった」とする反論書を提出した。
検察側はDNA型鑑定の専門家らの証人尋問を求めているが、弁護団は「必要ない」との見解も示した。次回3者協議は12月25日。
静岡地裁の再審開始決定は、事件から1年2カ月後に見つかり犯行着衣とされた「5点の衣類」の血痕と袴田さんのDNA型を「一致しない」とした弁護側鑑定結果や、犯行着衣の「色」を短期間で再現できるとした実験結果を重視。5点の衣類などの重要な証拠を県警が捏造した疑いがある、と指摘した。即時抗告審では、(1)DNA型鑑定の信用性(2)色の問題(3)捏造の有無―が争点になっている。
このうちDNA型鑑定について、検察側は「鑑定人のDNAが混入した可能性がある」として弁護側鑑定の信用性を否定する意見書を出しているという。弁護団は12月中に、DNA型鑑定と「色」に関する検察主張への反論書を追加提出する。
23日の反論書では、「大掛かりな捏造など非現実的」とする検察側に対して、5点の衣類が登場するまで犯行着衣とされていたパジャマの血痕などの鑑定が成功しなかったために「警察は有罪判決を得られるか不安になってきていたと考えられる」と動機を訴えた。
静岡新聞社