あいつ
<あいつの言葉は腐っている!>
人ごみのなかで、通りすがりに
吐き出すような台詞が耳朶を打った
あいつとは どいつなのか 知らないが
私はただちに了解した その内容もわからずに
<そう あいつの言葉は腐っている>
なぜなら日々
腐った言葉に首まで漬かり
憤懣やるかたないのだから
自分の言葉にすらそれを感じ
身ぶるいすることがあるのだから
あいつが どいつでも おんなじだ
●「あいつ」とは「あいつ」だろう。思い浮かべるのはそれぞれだが、重なる顔もあるはず。本当に何を言ってるのか、わかっているのか!と言いたくなる御仁だ。