「かんさい熱視線」で放映のあと、大阪地検がNHKに映像を提供した佐田弁護士を懲戒請求し、全国放映を「自粛」していたNHKが、今夜になって放映に踏み切った。しかし、大幅な変更を加えたらしく(「熱視線」は見ていない)、薄められていたようだし、肝心の懲戒請求や「目的外使用」については一言もふれなかった。何という体たらくか、メディアとしての矜持はないのか!(求めても無駄だが・・・。)
クローズアップ現代 No.3405 2013年9月24日(火)放送
可視化はどうあるべきか~取り調べ改革の課題~
出演者友井 秀和(NHK社会部・記者)
虚偽の自白を生み、えん罪の原因と批判されてきた警察・検察による密室での取り調べ。その反省から導入の検討が始まった取り調べの録音録画、いわゆる「可視化」の法制化を目指す国の審議会の議論がこう着状態に陥っている。取り調べの全過程を可視化すべきとする弁護士側と、録画範囲は取調官の裁量で決めたいとする捜査当局側が激しく対立しているのだ。一方、試験的に可視化を始めた取り調べの現場では、当初は想定されていなかった新たな事態が起きている。検察が逆手にとるかたちで、取り調べ映像を裁判で有罪立証するための証拠として使い始め、弁護士側は対処を迫られている。取り調べを適正化し、えん罪を防ぐための可視化とはどうあるべきか、当事者の証言を交えて検証する。
NHK総合大阪「かんさい熱視線」 2013年4月8日(月) 放送
- “虚偽自白”取調室で何が -
警察や検察の取り調べで虚偽自白をさせられたり、事実とは異なる調書が作成されていたりなどというケースが増える中、国は法制審議会を開き、取り調べの可視化などによる取り調べの改革を議論している。
“虚偽自白”取調室で何が (ニュース)
2007年北九州市で看護師の上田里美さんは入院中のお年寄りに対しての傷害罪の疑いで逮捕され、検察や警察の取り調べで事実ではない調書にサインさせられた。
逮捕された上田さんは毎日6時間取り調べられ、1週間が過ぎた頃から孤独感を感じはじめ、逮捕から2週間後に取調官が上田さんにかけた「患者の家族の方が非常に怒っている」という言葉が事実無根の調書にサインするきっかけになったという。上田さんが無罪判決を受けた2審を担当した上田國廣弁護士は、取り調べの可視化を訴えている。
司法関係者への取材を深める周防正行は虚偽自白してしまう人の精神状態について「取り調べではすべてを否定される。あらゆる情報が遮断されている状況の中で虚偽自白の心理状態に陥っていくのでは」とし「隠れた冤罪も多いのでは」と話した。また、取り調べの可視化について「調書の真偽をチェックすることが出来る、虚偽自白対策への第一歩」と話した。
4年前大阪で弟が兄を何度も殴打し、兄が無意識のうちに弟を絞殺してしまうという事件が起きた。専門家の新庄健二弁護士は「普通は正当防衛になる」と話したが、検察官の調書は兄が意識的に弟を絞殺したという内容で書かれていた。
この調書が取られたときの取り調べの様子が撮影された映像には、兄が「客観的事実としては間違っていない」と、調書の修正点を指摘しなかった様子が記録されていたが、兄が警察に「"結果的に"そうなってしまった」と伝えていたことも記録されていた。この事件を担当した佐田元眞己弁護士は、取り調べへの弁護士の立会いが必要だとしている。
スタジオの周防正行は、取り調べへの弁護士の立会いの必要性について「弁護士が入ることによって法律的な助言をすることができるということは、被疑者にとって重要なことであり、公平公正な裁判を行う上でも必要。海外では取り調べの録音・録画が当たり前のことになっている」と話した。