29日、日本橋の国立文楽劇場で「曾根崎心中」を観た。私も文楽は橋下クンと同じく二度目だ。彼が、「人形遣いの顔が見え腑に落ちない」とか、「ラストシーンでグッとくるものがなかった」といった感想を述べていたので、気にしながら鑑賞した。
結論から言えば、一度目は、何がなんだかわからないままに終わり、これとった感想を持つまでにもいたらなかった。だから、演目が何であったのかすら、覚えていないほどだった。しかし、二度目は、はるかにしっかり観たこともあるが、とても印象に残った。
演目がポピュラーでわかりやすいこともあるが、大夫、三味線、人形それぞれに鍛錬された技が十二分に伝わり、100分があっという間に過ぎた。満員の場内からは、何度も拍手が起き、演者と観客が一体となり、とてもいい雰囲気が醸し出された。
歌舞伎には歌舞伎の、能には能の、落語には落語の、それなりの伝統、美の様式があり、それぞれの世界で磨きあげられた魅力がある。それらの楽しみ方もそれぞれで、一様ではないし、人それぞれでもある。だから、橋下クンがお気に召さないからといって、難癖をつけるのはいかがかなと思う。自らの文化的素養のなさを暴露していることに早く気付いてほしいものだ。
以下は、当日買ったパンフレットに記載されていてた一文だが、これを橋下クンに贈りたい。