既に終了した「同和対策特別事業措置法」に基づく「同和対策事業」についても、似通った議論があった。いわゆる「逆差別論」であるが、これは法が失効した今も生きている。自治体による「人権意識調査」をすれば、必ずといって「いいほど、こうした意見が書き込まれるし、ネットにもあふれている。
アメリカにおけるほどタイトな制度ではなかったにもかかわらず、尾びれ背びれをつけた言いぐさがまかり通ったことは記憶に新しい。そこには、部落問題に対する予断・偏見といっていいが、根深くて底知れない悪意に似たものが潜んでいるように思う。そして、これは今なお生きていて、人々をとらえている。ここに切り込まない限り、部落問題の解決には行き着かないと思う。