テレビ等でよく見た「日和山」へは行ってみようと考えていたから、その方角を定めて、とりあえず「旧北上川」に向って歩き、そこから右折すればたどりつけるはずとの絵を描いた。駅から一つ目の交差点の赤信号で止まると、傍には今にも倒れそうな家や壊れかけの建物が並んでいた。
さらに進んでいくと、細い路地になり、ネオン街とおぼしき一角が続くが、どの店も閉鎖されたままのようだった。先の交差点に目をやると、白い制服を着た警察官が立っている。何をしているのかと見ると、交差点に立って交通整理をしているのだった。この辺一帯は、信号機が消えたままだ。傍らのパトカーには愛知県警と書かれていた。
道路の両側の建物はどれ一つとしてまともなものはなく、営業している商店もない。駅前は行きかう人もあったが、そこを過ぎると、とたんに人はまばらになり、出会うのは重機を操る復旧工事の関係者くらいのもので、人の気配がどんどん消えていく。旧北上川につくと、堤防付近はまだがれきが散乱しており、中瀬には被災して休館中の「石ノ森漫画館」も見える。そばをカメラを持った二人連れが通る。