「倚りかからず」
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくない
もはや
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
書店の詩集のコーナーにいくと、茨木のり子さんのものが目に付く。「売れているんだろうな」と思いながら、ヒネクレ根性が邪魔をして、これまで読むことはしなかった。それが、このほど、書評につられて、「清冽 詩人茨木のり子の肖像」という本を買い求めた。まだ、数ページを繰っただけだが、その最初のところに紹介されているのが、「倚りかからず」という詩だ。これで、マイってしまったわけだ。