5回目の「三者協議」が近づいている。17日の木曜日に東京で集会が設定されているところから、そのときまでに行われるはずだ。前回の協議(9月13日)で、検察が、「殺害現場とされる雑木林の血痕捜査にかかわる捜査報告書等一切」「雑木林を撮影した8ミリフィルム」「未開示の死体写真」を「不見当」として開示しなかったことについて、弁護団による求釈明に対して、「3カ月の検討期間」を求めたが、いよいよその「答え」が示されるはずだ。
捜査や裁判をめぐる状況は、さまざまに揺れ動いているが、狭山事件もその渦中にあって、一部ではあれ、証拠開示が実現し、悲願の「再審」への鼓動が聞こえつつあり、氷見事件や足利事件、布川事件に続くとの期待も高まっている。
しかし、このまますんなりと事が運ぶなどとは思えない。それは狭山事件47年の歴史に照らし合わせてみても明らかだ。また、郵便不正事件をめぐる冤罪で、検察の信用は地に落ち、失地回復はいばらの道となっているし、裁判員制度もあり、裁判への関心が高まっていることなども、微妙に反映するだろう。
冤罪被害者の救済や冤罪の根絶は、喫緊の課題だが、検察や司法としては、これ以上の「失態」や「誤判」「冤罪」の発覚・露見は避けたいとの思いも強いはずだ。だから、一筋縄では「再審」へのステップは踏めない。その意味では、検察および司法権力との鍔ぜり合いにならざるえを得ない。
弁護団の奮闘は言うまでもないが、私たちの注視と監視、アプローチもキーとなるはずだ。その際、改悪刑訴法の「証拠の目的外使用禁止」条項が壁となる恐れがある。これについては、既に書いてきたが、現実に前回の「三者協議」の際に、検察が「協議内容は非公開に」との見解を示し、弁護団が応じざるを得なくなった経緯がある。
したがって、第5回の協議内容も「非公開」になる可能性が高い。しかし、それでいいのかと思う。不当な見解を受け入れることによって、権力の意を汲むことによって、再審がかちとれるのかと思う。悩ましいところであるだけに、どこかで、誰かが決めるのではなく、衆智を集めて、誤りなきを期すくらいのことはあってもいいのでは思う。