部落差別の今を考える
二つ目の問題として、「部落差別はどこに・どうあるのか?」ということで意見交換をました。2005年の大阪府の府民意識調査の結果を見ると、大阪府民の93%は部落問題を知っていて、その23%は学校で教わり、17%は家族から聞いています。が、どう知っているかというと、「下品」「こわい」「不潔」「遅れている」「貧しい」という、部落に対するマイナスイメージを強くもっています。そして、これは前の5年、その前の5年と較べると、改善されてきているのではなく、マイナスが強くなってきています。
さらに、深刻なことは、20代の人の数値が全体よりもさらにマイナス・イメージが強いという結果になっています。若い人は部落問題なんて気にしない、とよく言われますがウソです。おまけに20代の57.6%、半分以上は部落問題を学校で教わったということですから、問題は広がります。
2007年の豊中の市民意識調査の関係では、自由記述のところで、「逆差別だ」とか「部落にお金を使うな」とか「部落問題は教えない方がいい」とか「差別は過去のもの」とか「地区をなくせ」といった誤解や間違った意見がたくさん書き込まれました。2000年のときも同じような書き込みがたくさんあり、あまり変わっていないようです。
部落へのマイナス・イメージが強くなり、偏見が生き続けるのはなぜなんでしょう?いったん、染みついたらなかなか抜けないんだと思います。もちろん、100年前と較べれば格段に変わってきているし、40年前と較べても大きく改善されてきていることは間違いありません。しかし、最近の状況は、部落問題にかかわるとりくみが質も量も、かつてとは薄くなり、少なくなってきている、その結果の反映だとも思います。
今、「土地差別調査事件」が大きな問題になっています。「地域下位地域」とか「不人気エリア」と独特の言い回しで、部落のことを表すようになったのは10年ほど前だそうです。しかし、開発業者は「うちはそんな情報をくれとは言ってない」と言い、仕事を受けた広告会社は「報告書をつくったのは調査会社だ」と言い、調査会社は「町の不動産屋から聞いた」と、自分たちの責任を逃れようしています。
豊中の地域についても、あからさまな表現をした報告書が出されています。そして、それらは単に被差別部落だけを問題視しているのではなく、その周辺や小学校および中学校区までに及んでいます。業界では、「あうんの呼吸」で差別が行われていることは周知の事実ですが、この事件は、業界と部落問題とが切っても切れない関係にあることを改めて示したと言えます。