「明治以降、近代化した日本の中で、女たちが自我に目ざめ、女たちの社会の地位を高め、女たちのしたい仕事を、男女平等にするという願望を貫くためには、どんなに多くの因習の壁を破らなければならなかったか」「天皇制の国体の下で、敢然と権力に反逆して生き、死んでいった」「投獄されたり刑死したり、虐殺されたりしています。その理由がすべて政治的な理由からです」(瀬戸内晴美編「反逆のロマン」より)
山が動く日来ると書いた与謝野晶子。山は独りでには動かない。身を賭して先駆的に、自らを命がけで生きた女たちがいた。束縛と圧迫に立ち向かい、非難と罵倒を引き受けて、敢然と生きた女たちがいた。「青鞜」を興したらいてうもその「新しい女」の一人だ。
今、私たちは彼女らが生きた時代に比すべくもない安楽な時代を生きているやに見えるが、かつてとは違った息苦しさに取り巻かれている。掴もうとすればスルリと手から逃げていくアメーバーもどきのものに取りつかれ、精神の自由を拘束されているかのようだ。
時代の壁に向かって、自分を生きるために命を賭した女たちの生きざまがまぶしい。
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