「三者協議」では何が?
いわゆる東京での狭山集会が、解放同盟中央本部の主催による「中央集会」から、実行委員会主催による「市民集会」に切り替えられて何年になるだろう?当初は瑞々しく、新鮮な気持ちがしたものだが、回を重ねるたびに、それらは失われ、マンネリというか、お決まりのパターンに定着してきている。「市民集会実行委員会」による「市民集会」のはずなのに、名称が変わっただけで、実態は以前と変わらないことが歴然としてきたように思う。
9月15日の「緊急」にもたれた「市民集会」も、平日の午後という日時設定自体が誰を念頭においたものなのかと思う。そして、肝心なことは、この日のメインテーマは「三者協議」の報告とその意味を共有化し、10月および12月に向けてどんなとりくみをするのかの提起を踏まえて、意思確認をする場とすべきなのに、政党のあいさつや他の冤罪事件のアピールなど、いつもながらのプログラムがびっしり組まれ、これまたいつものようにデモ行進でおわるというものだった。もう少し、メリハリというか、目的をはっきりさせるべきではなかったのか?「継続は力なり」と言うが、力となるためには、事態を肯定的に動かす洞察力と戦術が必要だ。
 さて、愚痴はこれくらいにして、中山弁護士の報告を再録する。


中山主任弁護士の報告

「三者協議」は、9月10日午後4時から5時まで1時間、審理を担当している東京高等裁判所第4刑事部で行われました。裁判長ともう一人の裁判官、検察官が東京高検と担当検事2名、弁護人が11名。この日は、再審の審理をどう進めていくのか、それから弁護団が申し立てている証拠開示についての協議でした。当日は、まず証拠開示の問題を中心に協議を行いました。弁護団が第3次再審を申し立てたのは、2006年5月23日です。3年4ヶ月ぶりにやっと裁判所は動き出したことになります。

第1次再審を申し立てたのが1977年8月30日です。当時、最高裁で上告が棄却されて、裁判が確定しましたから、万年筆とか時計とか鞄が被害者に還付されるんです。だから、それを何とかしないといけないということ。それから、検察庁が押収している証拠物とか記録の保全をすること、そのために2回、検察官も参加しての証拠保全をどうするかの協議は開かれたことはあります。ところが、再審の審理をどうするかとか、隠されてる証拠はどうするかという問題での、中身の「三者協議」は今回が初めてです。再審を申し立てて32年たって裁判所が初めて動き出したんです。その意義はきちんととらえる必要があります。

証拠開示について、弁護団は何回も検察官と交渉をしてきました。第2次再審では東京高等裁判所、最高裁判所に対して開示勧告・命令を出すよう求めてきました。ところが、最高裁の担当調査官と会ったとき、弁護団の証拠開示の勧告とか命令の申し立ては、裁判所に職権の発動を促すだけのものがない、だから、これに応じる法的な義務はない、対応する義務はないということで全く無視されてたんです。ところが、今回、裁判所が「三者協議」で積極的に証拠開示の問題で動いてきました。

弁護側が検察側に開示を求めている証拠、また裁判所に勧告を申し立てている証拠の中心の一つは、犯行現場の虚偽架性です。これは、雑木林が犯行現場ということですが、証拠は何にもないわけです。石川君の「自白」だけなんです。義枝ちゃんの後頭部には傷跡があるんですが、これは後ろに倒れてできた傷ということになってるわけです。弁護側の法医学鑑定によると200cc、検察側の石山鑑定でも20ccの出血はあったとなっています。
7月4日に埼玉県警の鑑識課が雑木林の現場でルミノール反応検査をしてるんですが、血痕は発見されてないんです。それは事実として証明されてるわけです。第2次再審の途中で、「芋穴」については鑑識課の技師の「ルミノール反応検査をしたが、反応はなかった」という捜査報告書が出てきたんです。第2現場で検査を行ったとすれば、当然一番重要な第1現場では行っている。それから、芋穴でルミノール反応検査を行った技師に2回会ってテープもとってるんですが、捜査本部の指示で雑木林でもルミノール反応検査をした、その報告書も提出してる、検察官からの問い合わせにそのように答えてると、きちっと証言してるんです。その証言テープも裁判所に出してるわけです。さらに国会で問題になったとき、当時の刑事局長が「犯行現場の雑木林でルミノール反応検査をやりました」と答弁をしているわけです。この事実から間違いなく、現場でルミノール反応検査をしてるわけです。

なぜ、裁判所が動き出したのか?弁護団は、第3次再審で実験報告書を出しました。自白では殺したのが5月1日、それからルミノール反応検査が7月2日、2ヶ月以上経ってるわけですが、それでどうなるかと実験したわけです。2ヶ月経っても、ルミノール反応がありました。それもわずか2ccでも反応するし、1万倍~2万倍に薄めても反応があります。いくら荒らされても、ぬれたりしても反応があるんです。こういうことから、現場でのルミノール報告書はどうなっているのか?ということが改めて、問題になってきているわけです。
それから、6月23日に「単独犯行説」を「自白」したとなっていますが、今出されている、開示されている実況見分調書は7月4日付です。しかし、10日間のあいだに実況見分をやってるわけで、新聞にも報道されてます。ところが、それを出してきていないんです。被害者が悲鳴をあげたとされる「犯行現場」から20~30メートルの至近距離で農作業をしていた方の「そんなことはない」という供述調書も、その方は4回調査をうけていて、3回目にも調査をされたという記録があるんですが、その記録が出ていないんです。それも求めていますが、改めて「犯行現場」のことが問題になってくるんです。

それで1時間ほどやりとりしたんですが、検察官は消極的な姿勢で一貫しています。「再審だから、一審とか二審とは違う。事実誤認による控訴審ではない。新規・明白な証拠が必要で、それと求めてる証拠とがどういう関係にあるか、そこの証明がなければ答えられない」「存否についても答えられない」という方便を使いました。国会答弁のとも食い違う後退した態度に出てきました。これに対して裁判所は、「10月末までに回答しなさい」と見解を表明しましたが、検察は「膨大で間に合わない」と抵抗しました。最後は、裁判所が「中間報告でもいいから出しなさい」と。これを受けて、最終的には回答に応じることになったわけです。それをふまえた上で12月に再度、「3者協議」を持つことになったわけです。だから、非常に重要な時期を迎えているわけです。それから事実調べについては、次から協議していきますが、とりあえずは鑑定人尋問をしてもらいたい。
第3次再審で絶対、事実調べをさせるということで弁護団は頑張っています。だから、裁判所に事実調べをすべきだと、検察に勧告をすべきだと、そういう運動を全国的にとりくんでいただきたい。


これからがスタート!冤罪が晴れ、人間としての当たり前の権利や尊厳を取り戻し、石川一雄さんが残りの人生に夢をかけ、実現できるように、東京高裁・東京高検に迫ることが喫緊の課題だ。
# by sayamaziken | 2009-09-16 22:50 | 2009年9月 | Trackback | Comments(0)


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