飛鳥会事件」や「芦原病院問題」など、同和事業をめぐる一連の問題への対応を迫られている大阪市は、今年6月6日に二人の弁護士を含む外部委員4人と内部委員4人の計8人からなる「大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」を設置し、同和対策の一環として始められた事業等の抜本的な見直しに向けた議論を急ピッチで行い、8月末には見直し方針をとりまとめて公表するとしている。
会議のたびに概要がマスコミで報道されている(
大阪市のホームページにも要旨等が公開されている)が、やろうとしていることは、公正・中立の装いをこらした「調査・監理委員会」の名のもとに、現行のすべての事業の改変(廃止、縮小、執行方法の変更)と言える。会議は8月3日で6回目を数え、あと数回は行われるだろうが、結局、たかだた10回ほどの会議で、しかもたったの8人による書面審査で結論が出されようとしている。
4回目の会議では、人権文化センター(旧・解放会館)や青少年会館、老人福祉センター、障害者会館についても「今日的な視点で必要性を精査し、抜本的に施設のありかたを見直す」との方向が出されたが、これらの施設がどのような経緯でつくられ、地域でどのような機能・役割を果たし、今日どのように生まれ変わろうとしているのか?そして、何よりも大阪市の人権行政においてどのような位置にあるのか?さらには、利用者にはとってはどのような存在なのか?といったことが考慮されているとは言い難いように思える。要旨を見る限りはそんな気配は皆無といってもいい。
わたしが住む豊中市は、人権擁護宣言都市であり、「人権文化のまちづくりをすすめる条例」があり、同和行政基本方針・同和行政推進プランがあり、同和教育および同和保育基本方針などなど、人権行政や同和行政を推進する“しばり”がある。これは大阪市も同様だろう。ならば、「調査・監理委員会」がやろうとしていること・公表していることは、これらとの整合性はあるのかと思う。何やら、事件や不祥事をいいことにいわば超法規的な事態が進行しているように思えてならない。