参加しなかった私が大会についてあれこれ述べる資格はないことを承知しつつ言う。
まず、思うことは解放同盟の全国大会が、以前に比べて「注目・関心事」でなくなったことだ。それはマスコミの報道を見れば歴然としている。3日~6日の新聞を見ても、申し訳程度のベタ記事があるだけで、どんな議論が交わされたのか、また、部落解放運動の現状などについてはほとんど触れられていない。一体、いつからこんな扱いになったのかと思う。
部落解放同盟や部落解放運動が日本の人権運動において占める位置は、数年前と比較してもそんなに変わってはおらず、相当の位置を占めているはずだ。なのにマスコミの扱いはそれとは一致していないと私は思う。某出版社による「利権」本を初めとするマイナス材料がカウンターブローのようにきいてきていることは否めないが、それにしてもとため息が出る。
部落問題が1965年に内閣同和対策審議会答申が出された当時のように「焦眉の急を要する」問題でなくなり、「同和はおしまい」という意識がジワリと広がり、人々の関心が遠のいてきていることもそうした事態に追い打ちをかけているのだろう。
しかし、部落問題は解決していないし、新たな問題も生起してきている。しかし、それを根拠に「部落差別はまだきびしい」というステレオタイプの言説を繰り返しても、人々をとらえることはできず、いったん離れた人々の問題意識をつなぎとめることはできない。まずはそうしたシビアな現実を受け入れることが必要だろう。そのうえで、新しい部落問題論を提起するこそ求められているのだと思う。
もう一つは、差別事件に象徴される部落差別の存在に対する異議申立を社会的に行うことだ。それは部落解放運動がその生命線としてきた差別糾弾闘争の今日的展開ということだろう。