かつては豊中でもホットな「たたかい」が繰り広げられた「日の丸・君が代」問題だが、学校現場から遠ざかっている者が多くなったこともあって、かつてのようにはいかなくなった。が、シーズンを前に“恒例”となっている市教委指導課との交渉を24日に行った。
相手は4人、こちらは一人上回る人数で1時間半、事前に出した文書への回答にもとづいてやりとりをしたが、「現場」がそれなりの「均衡」を保っているらしいこともあって、総じて静かに終わった。そのなかで市教委は、
・人権教育の視点は全ての教育活動に根ざすものであり、基本的人権の尊重は当然のことだ
・教育課程の編成権は学校長にあるが、それは学習指導要領に沿うべきものであり、式にあたっては市教委として指示事項を話する
・学校では、国際理解の観点から国旗・国歌を尊重するマナーを指導するが、心の部分については十分配慮する必要がある
・この問題については様々な考え方あるので、十分配慮してすすめるべきで、「君が代」のいきさつや歴史的経緯についても年間を通じて学習していく必要がある
・国及び府教委の指導に基づいて、①式場内での掲揚、②式次第への明記、③起立しての斉唱の3点を学校長に指導している
などと述べた。
まさにきれいごと・タテマエであり、現実は子どもたちの起立しない自由や歌わない自由はほとんど顧みられていない。3点指示を遵守し、実行することに汗する校長はあっても、子どもたちの心に思いを馳せる者は皆無に近いとみるのが正解だろう。ことほどさように、「日の丸・君が代」をめぐる問題は裁量の余地がないのだ。東京をはじめとする他所で進行している状況を思うと、そんなことを百も承知しながらも美辞麗句で飾る市教委にまだ希望をつなぐべきなのかもしれないとも思う。
しかし、市教委が固執し、毎年のように学校長に指導する「3点指示」について、課題は何かと問うと、起立しない教職員がいることだと言う。それは何校でどれぐらいなのかと問うと、実態は把握していないと。おいおい、実態も知らずに「課題」が見えるのかよ!明らかにすれば物議をかもすから言いたくないのだろうが、それにしても使い分けが甚だしい。
「日の丸・君が代」問題は、大筋ではほぼ「決着」がついており、それぞれの現場ではそれなりの落ち着き方をしている。市教委とこんなやりとりを続けているのはむしろ希有な存在となっている。しかし、私たちとは意見を異にする勢力がこの問題を含めさまざまに物言いをしてきていることもあり、手を引くことはできない。誰かがやり続けることが、何らかの歯止めになっていることもあるだろうと思う。