「退位」や「婚約」をめぐる報道は異様としか言いようがない。やはりこの国は「天皇の国」であることを思い知らされる。無条件に受け入れ、礼賛し、有難がるその様のおぞましさはどうだ。それでわが身がどうなるものでもないことを思えば、めでたいなどと浮かれる筋合いのものでもないはずだ。しかし、人々は一様に彼の身を気遣い、彼女のありようを無条件に称え、その相手をもほめそやす。一体何なんだとうなってしまう。「退位」しても普通の人にはならず、依然として特権を持ったまま居座るし、皇籍を離れても1億ン千万円もの持参金でのくらしを始める。本当に金食い虫だ。そして、当分は続く一連の騒動は、生まれ(出自)による差別を肯定し、それを強化することになることも間違いがない。鬱陶しい限りだが、「金曜日」の記事に救われる思いがする。
●「週刊金曜日」1135号(5月19日)より