第2講
講演「橋のない川と住井すゑの世界」
6月13日(月) 18時30分~ 豊中人権まちづくりセンター2階
黒川みどりさん(静岡大学教員)
参加費500円
住井すゑが心血を注いだ小説(全7部)は、「未完」の大作です。読めば、差別のむごさに胸が詰まったり、心がふるえたり、いきどおりがわいてきたりしないではおれません。「小森」(舞台になった被差別部落)の人々の思いの根っこには、「なぜ差別されるのか!」という深い問いがいつもありますが、その答えはどこにも見つからないし、誰も出すことができません。しかし、世の中の不条理を押しつけられる中で、支配する者とされる者、金持ちと貧乏人、差別する者とされる者・・・その「からくり」を見抜くようになり、水平社創立へと行き着きます。
100年前の被差別部落の人々のくらしぶりと、あからさまな差別のありようのリアルさに息をのみ、命をつなぐために這いつくばって、自然の摂理とともに生きる姿に感動し、社会的な事件に対する執拗で正鵠を射る洞察に感服し・・・「住井ワールド」の虜になること請け合いです。