大臣辞任は当たり前だ。週刊誌が報じて1週間。この間、甘利は証拠を隠滅し、関係者の口をふさぎ、つじつま合わせをしてきたはずだ。だから、用意してきた「原稿」を落ち着いて読み上げた。しかし、悪知恵をこらしても「事実」を変えることも、なかったことにすることもできなかった。だから、これ以上傷を深くしないために、辞任に踏み切った。
「引き続きやってもらう」と表向きは強気を通してした安倍首相も、その辺は織り込み済みで、すぐさま後任に石原伸晃をあてると発表した。すでに「シナリオ」がとっくにできていたのだ。甘利が「言い訳」をつくる時間をつくってやったのだろう。
その証拠に25日の夜、安倍首相は石原と南麻布のイタリア料理店で会食している。メシを食っただけだなんて誰も思わない。話は決まっていたのだ。
告発した人の罠にはめられたなどと甘利を「被害者」にすりかえたり、秘書の不始末の責任をとった甘利をほめあげたりする者もいそうだが、トンデモナイことだ。甘利はお金をふところに入れたのだ。即刻、議員辞職すべきだ。
そして、かばい続けた安倍も菅もその非を認め、謝罪し、責任をとるべきだ。
甘利大臣が辞任表明 建設会社から100万受け取る
[2016年1月28日19時38分]
甘利明経済再生担当相(衆院神奈川13区)は28日、内閣府で記者会見し週刊誌が報じた金銭授受疑惑をめぐり建設会社側から大臣室と地元事務所で現金計100万円を受け取ったと認めた上で、閣僚を辞任すると表明した。現金は政治資金として秘書に適切に処理するよう指示したと説明。だが国政への影響などを考慮し辞任を決めたと述べた。政権運営に打撃を与えるのは必至だ。安倍晋三首相は後任に石原伸晃元環境相を起用した。野党は首相の任命責任を追及する。
閣僚辞任は昨年2月の西川公也農相(当時)以来で、同年10月発足の第3次安倍改造内閣で初。首相は27日、甘利氏について当面、続投させる考えを示していた。
甘利氏は会見で、疑惑報道により国会審議に支障を来しかねないとの認識を示し「安倍政権の足を引っ張るのは耐え難い」と強調。その上で「国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務、政治家としての矜持(きょうじ)に鑑み、閣僚としての職を辞することを決断した」と述べた。
2013年に秘書が建設会社側から500万円を受け取り、このうち300万円は秘書が自ら使ったと説明した。
閣僚として、経済再生のほか、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)交渉を担った。衆院当選11回で1998年に小渕内閣の労相で初入閣。第1次安倍内閣で経済産業相、第2次、第3次内閣で経済再生担当相に就き、安倍首相の側近中の側近に当たる。
週刊文春は、千葉県の建設会社側から都市再生機構(UR)とのトラブル解決の謝礼などとして甘利氏が現金計100万円を直接受け取ったと報道。秘書を含め甘利氏側への現金や接待などは証拠が残っているものだけで1200万円とした。(共同)