●毎日新聞(10月28日)朝刊より
検察の悪あがきもここまでだ。冤罪が晴らされ、無罪を手にする日まであと一歩だ。それにしても、警察・検察・裁判所のありようはどうだ。真実を見極める機会はいくらもあったはずだ。それをことごとくつぶし、ストーリーを忠実に守ったのだろう。しかし、彼らの罪は問われない。人を無実の罪に陥れても、その責めは負わなくていいのだ。しかし、青木さんと朴さんとその家族を含む多くの人の失われたものは膨大だが、戻ってくることはない。誤った捜査をした者、誤った起訴をしたもの、誤った判決をした者は厳罰を科すべきだ。それが冤罪や誤判を防ぐ最も効果的な方法だと思う。
「東住吉冤罪事件の経過」
1995年7月22日 大阪市東住吉区の住宅火災で入浴中だった長女が焼死する。
1995年9月10日 青木惠子さんと朴龍晧さんが逮捕される。
1999年5月18日 大阪地裁が無期懲役の判決。
2004年12月20日 大阪高裁が控訴を棄却。
2006年11月7日 最高裁が上告を棄却、無期懲役刑が確定。
2009年 朴龍晧さん(7月)、青木惠子さん(8月)に大阪地方裁判所に再審請求。
2011年 終結。
2012年3月7日 大阪地裁第15刑事部(水島和男裁判長)が再審開始決定。
2012年3月12日 大阪地検が、大阪高裁に即時抗告。
2012年3月29日 大阪地裁が職権で刑の執行停止を認める。検察側は大阪高裁に抗告。高裁は「執行を止めなければ正義に反するような状況ではない」として決定を取り消す。弁護側が最高裁に特別抗告。
2012年9月18日 最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)が特別抗告を棄却し、執行停止を認めなかった高裁決定が確定。
2015年10月23日 大阪高裁が再審開始を認めた大阪地裁決定を支持し、検察側の即時抗告を棄却。また、「拘束が20年に及ぶことに照らすと、刑の執行を今後も続けることは正義に反する」として刑の執行を10月26日午後2時で停止する決定を出す。
検察側は、刑の執行停止に対する異議申し立てを大阪高裁に行ったが、大阪高裁はこの申し立てを棄却。10月26日、青木さんと朴さんは和歌山刑務所および大分刑務所から仮釈放される。
追記:再審段階では2015年4月13日まで39回におよぶ三者協議が行われていたらしい。弁護団の奮闘ぶりがうかがわれる。2009年に再審請求しているが、これは狭山事件と同じ時期だ。狭山はまだ25回、あともう少しすれば・・・。