●読売新聞(10月21日)夕刊より
東住吉冤罪事件とは
1995年7月22日、大阪市住吉区の青木惠子さん宅で、家屋1階の土間兼車庫付近から出火し、家屋がほぼ全焼、入浴中だった青木さんの長女(小学6年生)が逃げ遅れて亡くなるという、痛ましい事故が起きました。
警察は、火元と見られる家屋内に火災原因が確認できなかったことから、何者かによる放火を疑いました。そして火災により死亡した長女にかけられていた保険金の受取人である青木さんと、当時内縁の夫であった朴龍晧さんが共謀のうえ、保険金目当ての放火殺人を引き起こしたとの予断をもって、2人を任意同行。黙秘権をも侵害するような苛酷な取り調べを行い「自白」を取得、そして逮捕、犯行態様を詳細に供述した「朴自白」を根拠に起訴にいたりました。「朴自白」の、ガソリン7リットルを撒いてターボライターで火をつけるという行為や、全く火傷をせずに済むという結果は、市民の常識では到底考えられません。
一審・二審・最高裁とも、警察の抱いた予断を排除することができず、無期懲役が確定しました。
2009年夏、新規・明白な証拠の数々をもとに、大阪地裁に再審請求。
2012年3月7日 大阪地裁は、A受刑者とB受刑者の請求を認め、再審開始決定。科学的にみて被告の自白が不自然、不合理で信用性に欠けることが判断の要因の1つとなった。この決定に対し大阪地検は3月12日、大阪高裁に即時抗告した。
2012年3月29日 大阪地裁は職権で刑の執行停止を認めた。検察側は大阪高裁に抗告し、高裁は「執行を止めなければ正義に反するような状況ではない」として決定を取り消した。弁護側は最高裁に特別抗告したが、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は2012年9月18日に特別抗告を棄却し、執行停止を認めなかった高裁決定が確定した。