マリア・カラス(Maria Callas, 1923年12月2日 - 1977年9月16日)は、ギリシャ系アメリカ人のソプラノ歌手。ニューヨークで生まれパリで没し、20世紀最高のソプラノ歌手とまで言われた。この映画は、マリア・カラスの絶頂期のパリ・オペラ座での公演(1958年)のドキュメンタリーで、初公開だという。
オペラが好きなわけでもないし、マリア・カラスに特別な思いれがあるわけでもないが、記憶を辿ると、行き当たる。映画「王女メディア」を思い出す。確か、マリア・カラスが主演していたはず。ネットで検索すると、1970年劇場公開とある。そう、40年以上前に観たあの映画だった。
フィルムは、オペラ座前、会場入り口から始まり、小雨の中をフランス大統領の車が到着するのを写しだす。会場はすでに満席で、ブリジッド・バルドー、チャールズ・チャップリンら錚々たる顔ぶれのセレブリティたちが集う中、歴史的コンサートが幕を開ける。
映画はモノクロフィルムで、時代を感じさせるが、カラーであったなら、印象と感動はもっと違ったものになっていたかもしれないが、歌手として、俳優として、堂々たるパフォーマンスを示したマリア・カラスの存在感は圧倒的だった。
しかし、その後は坂道を転げるように、その栄光と名誉とは似ても似つかわない人生を歩むことになるとは、誰が想像したろうか?その意味でも、彼女の最盛期の輝きを記録したこの映画は、とても価値あるものだと思う。一曲歌い終えるたびに 観客の拍手は鳴りやまず、マリアは幾度も幕間から姿を現し、丁寧に応じる。酔いしれるとはこういう時間のことを言うのだろう。