冷え込みの続く大阪、夜9時からのライブに大阪市内まで出かけた。
先々月、ラジオのFMからたまたま流れてきた曲を聴き、「う~ん!」と唸ってしまった。ネットを検索すると、そのシンガーのライブが大阪であることがわかった。滅多にない機会でもあり、これは!と、迷うことなくチケットをゲット。
会場は堂島川をはさんで中之島の対岸にある「DOJIMA RIVER FORUM」。ホールとカフェ、ギャラリー、3階には大阪芸術大学ほたるまちキャンパスがあり、上の階はマンションになっている。1階のセブイレはすごいりっぱだった。開館は2008年、ホールの収容人数 1,200席。
30分前に整理券番号順に入場となり、4・5番だったので、一番前のテーブル席(4人がけ)に座った。客はまだパラパラだったが、9時のオープニングの頃には、ほぼ埋まっていた。やっぱり、知る人ぞ知る、なんだなあ・・・と。
ステージはゆったりと広い。前にはスクリーンが下がり、ポスターが大写しになっている。コマーシャルが数分間あり、開演となる。ピアノとドラム、ベースに個性的な男がそれぞれスタンバイし、静かに「カレン・ソウサ」が現れる。スレンダーでもなく、ふくよかでもない身体に小さな顔とブロンドの髪。噂どおりの妖艶な顔立ち。ひと呼吸おき、歌いだす。おお、CD「Essentials 2 」で聴いた声と同じだ。前半30分、後半30分、予定の曲を次々と歌い、最後にアンコールに応えて2曲。あっという間だった。
歌い終えると、ステージから客席フロアーに降りてきた。手にはピンクのバラの花束。すぐ近くのテーブル席で一本抜き取って手渡した。次はどこ?と見ていたら、私のテーブルに近づいてきた!同じようにバラ一本が差し出された。しかし、受け取ったのは、残念ながら私ではなく、横の女性(私の妻)だった。「ありがとう!」と言ってバラを受け取った彼女は、何と自分の手を差し出して握手を求めた。これにカレンは笑顔で応じた。何と大胆なことを!と半ばおどろき、なかば呆れてしまったが、カレンの手は湿っていたそうだ。このライブに乗り気ではなかった彼女がこんな栄誉に浴するとは、なんたることか!でも、そのおかげで、帰り道はご機嫌だった。
けだるそうで、妙に艶っぽく、ややハスキーで、耳をくすぐられるような・・・。形容詞がいくつも浮かぶ声が耳に心地いい。声量もあり、発音も明瞭。時折、表情をゆがめるかのように眉間に力が集まる。夜のイメージが似合うようにも思うが、それでいて、朝方の霧の中、逆光を浴びて歩いてくるようなイメージが湧いてくる、不思議なシンガーだ。
帰りに受付で買い求めたCD「Hotel Souza」を聴きながら・・・。