1.前段の攻防
●弁護団
2月27日付で、筆跡資料、犯行現場や山狩り捜査のされた場所で発見された証拠物、被害者関連の証拠物(被害者の所持品に関連する証拠物など)、手拭い関連の証拠物を指定して、開示勧告を求めた。
●検察官
6月28日付で意見書を提出し、証拠物3点を裁判所に提出するとしたものの、弁護団が求めた筆跡資料等の証拠物については、開示の必要性がない、未開示のものは存在しないと回答。
●弁護団
7月25日付で、あらためて証拠物の開示と標目の提示を求める申立書を提出。
2.第14回協議のなかで
(1)「インクびん」など3点が提出される
●検察官
被害者が使用していたインクびん、郵便局のインク、被害者の級友のインクびん3点を提出。
筆跡資料については、開示の必要性はなく、関係者のプライバシーに関わるとして応じられない。
●河合裁判長
証拠物は客観証拠であり、開示の方向での再検討を促す。
●弁護団
さらに意見書を提出する予定。
(2)手拭に関する「調書」1通が開示される
●弁護団
5月2日付で、手拭の捜査資料に関する証拠の開示を求める開示勧告申立書を提出。
●検察官
7月9日付で意見書を提出。調書1通を開示したが、肝心の証拠については「不見当」、開示の必要性がないとして応じず。
●弁護団
7月25日付で反論の意見書を提出し、開示を求めた。
(3)駐車していたとする車に関する捜査資料
●弁護団
6月26日付で捜査資料を特定して開示を求める。
●検察官
7月19日付で意見書を提出し、すべて「不見当」と回答。
●弁護団
納得できない、反論を提出することを伝える。
(4)腕時計の「バンド穴」について
●検察官
5月27日付で科警研の技官による鑑定書と意見書を提出(5番目の穴は使用されていない)。
●弁護団
再度、反論の意見書を提出すると伝える。
(5)河合裁判長
前回に引き続き、証拠開示請求について柔軟に対応するように検察官に促している。
(6)次回
第15回三者協議は10月下旬の予定。
前回(5/8)から3か月半、双方が意見書や鑑定書を提出し、「攻防」がなされていたことがわかる。それをふまえた14回目の協議であったわけだが、進展のあった部分もあれば、そうでない部分もある。「インクびん」など3点が提出されたが、これは50年後の今になってされるものではないだろう(50年間、隠していたのか?)。万年筆については、これまでインクの種類が違うと主張してきたが、インクを鑑定すれば、万年筆は被害者のものではないという論拠になるはずだ(万年筆のインクが鑑定可能かどうかによるが)。
「筆跡資料は関係者のプライバシーに関わるから開示しない」というのは、どう考えても異様で、納得できるものではない。すでに50年だ。今更どんなプライバシーがあるのだろうか。仮にあるとするならば、「インカメラ」(非公開で弁護団にのみ開示する)でやればよい。河合裁判長は、開示の方向でと言ったそうだが、そんな悠長に構えることではないだろう。即座に「指揮」をすべきではなかろうか。
検察官は、「手拭」「車」に関するものについて、「不見当」「必要性なし」と退けているが、こんな言いぐさはこれまで何度も聞いてきた。だから、ここでも裁判長は、こうした言いぬけをまかり通らせ、たしなめるだけの役回りを演じるのではなく、明確な指示をすべきだろう。
「時計のバンド穴」については、正反対の鑑定結果が出されたが、よくもまあと言いたくなる。科警研よ、恥ずかしくはないのか、と言いたくなる。
かくして、協議は15回目に持ち越された。全体をどう評価するのか、今後の見通しはどうなのか、そして、いつまでこうしたキャッチボールめいたことを続けるのか、いくつも問いが湧いてくる。もちろん、相手のあることだから、こちら側の望むようにはいかない。河合裁判長もまだ5か月足らずということもあるだろうが、いつまでも待つわけにもいかないのだ。