さっさと発言を撤回した高市早苗は、すぐさま原発再稼働の自民党公約を喜々として発表。まさに醜悪そのものだ。新規制基準の実施をめざして、推進側の攻勢がすさまじい。このままでは、あれよあれよと言う間もなく、再稼働になだれ込んでいってしまう。
以下は、昨夜の「ニュースステーション」より。
原発「厳しい安全基準」とは? 毎日”抜き打ち検査”アメリカの規制現場
アメリカ・テネシー州のセコイヤ原発は1981年稼働開始し、原子炉が2基。大手電力会社「TVA」が運営しており、敷地内には、武装警備隊が常置している。NRC上級検査官のギャレン・スミス氏の仕事は抜き打ち検査で、職員の誰も彼を止めることはできない。彼にここまでの権限を与えているのは、アメリカ原子力規制委員会「NRC」。
NRCの本部はワシントン郊外にあり、5人の委員と約5000人の職員を有している。ちなみに日本の原子力規制庁の職員は500人に満たない。NRCの運営予算の9割は電力会社から徴収する手数料でまかなっている。NRCが定めた原発の規制指針が書かれた本は厚く、2冊でおよそ1900ページで、テロ対策などについて細かく書かれている。
全米の原発敷地内にはNRCの事務所が設置されており、検査官が常駐されている。検査官には原発で働く職員以上の知識が要求されるため、専用のトレーニングセンターなどで1400時間以上の訓練を受け、厳しい試験にパスしなければならない。
こうした検査官によるチェックシステムは日本の大飯原発などでも行われている。しかし検査官は原発の敷地内ではなく、原発から離れたオフサイトセンターにいる。また、原発は電力会社の雌雄施設という考え方のため、抜き打ち検査も行われていない。
アメリカの原発への安全意識はスリーマイル島の原発事故から高まったという。「原発は危険なもの」という意識のもと、危険を排除することで発展した。アメリカのNRCでは周辺住民への配慮もかかさない。
<2013年6月20日放送 22:49 - 23:01 テレビ朝日>
「世界一安全な原発」などとうそぶく首相もいるが、完全な空文句だ。しかし、アメリカにならうことはない。福島を教訓にし、脱原発・原発ゼロ社会を実現することこそが、この国の進むべき道だろう。アメリカのような規制をしたとて、原発が抱えるリスクはゼロにはできないし、その始末は人類の手には負えないのだから。