河合健司・静岡地裁所長 制度見直し 時間をかけて
河合健司裁判所長
――制度開始から3年。県内の現状をどう捉えるか。
「裁判員は真剣に審理に参加しており、順調に進んでいる。一方、困難な事件もあり、裁判員の負担が重いのも確かだ。当初は『審理は短く』という発想だったが、最近は十分な評議時間を持つなど、比較的充実した審理計画を立てている。試行錯誤の最中だ」
――裁判官の業務はどう変化したか。
「以前はたくさんの調書などを執務室で読み込み、判決を書いていた。裁判員裁判では、法廷で全部証拠調べをして、心証を取る。記録を持ち帰って読むことはまずなくなった」
――判決までの期間短縮にどう対応しているか。
「裁判員裁判では結審後、数日で判決となる。漏れのない判決から、ポイントを絞った判決に変わった」
――量刑の幅が広がっているとの指摘をどう思うか。
「性犯罪などは、裁判官以上に厳しい見方の裁判員が少なくない。一方、被告の更生に期待する裁判員も非常に多い」
――量刑の均衡も必要では。裁判官の役割は。
「あまりに不均衡な量刑は好ましくない。従来の考え方を裁判員に理解してもらう必要があるが、押しつけではいけない」
――制度はどう見直すべきか。
「個人的見解だが、現段階で大きな問題は生じていない。本当に見直しが必要か、もう少し時間をかけて様子を見た方が良いのでは」
(2012年6月17日 読売新聞)