2013年02月21日号 【鷲見一雄の憎まれ口】
29期のトップに立つ東京家裁所長に起用される小川正持・東京高裁部総括判事
●順当な人事
政治資金規正法違反の罪で強制起訴され1審無罪判決が出された小沢一郎氏に対する控訴審裁判長だった小川正持・東京高裁部総括判事が3月5日付で東京家裁所長に起用される。小川氏は昭和24年生まれ、岐阜県出身、名古屋大学卒業後、74年に司法試験に合格、77年東京地裁判事補に任官、最高裁調査官、東京地裁部総括判事、最高裁刑事局長、前橋地裁所長などを経て東京高裁総括判事となった。29期のトップに立つ東京家裁所長は実績から見て順当な人事といえる。次は高裁長官への道が待っている。これで裁判には直接関与しないことになる。
裁判官の世界はよく知らないが、小川さんは出世コースを順調に進んでいるのだろう。「現代日本の司法官僚制 西川伸一 『プランB』33号掲載」(2011年4月17日)にはこんなふうな記事もある。
最高裁裁判官は一五人いますが、慣例で職業裁判官出身者は六人とされています。現在の六人の経歴を具体的にみると、最高裁裁判官になる前は必ず高裁長官ですが、高裁長官といっても、八ポストあります。そのうち、最高裁裁判官への最有力ポストは、東京高裁長官と大阪高裁長官です。さらに、六人中四人は地家裁所長を経験していますが、四人が経由した地家裁所長ポストは、東京地裁二、さいたま地裁一、甲府地家裁一という内訳になります。同じ地家裁所長ポストでも東京と東京近郊の地家裁所長ポストは出世コースなのです。最高裁裁判官への出世コースは事実上制度化されているのです。
ふ~ん、ますますわからなくなるが、「東京家裁所長」になった小川さんには、最高裁裁判官の芽もあるということになるんだろうか?
まあ、去った人のことはもはやどうこう言っても始まらない。入れ替わりで、静岡地裁所長から東京高裁部総括判事になった河合健司裁判長が狭山事件の担当になるのかどうかわからないが、いずれにせよ、小川さんがコツコツやってきた証拠開示路線を引き継ぐべよう、後退しないよう、声を届けなければならない。
蛇足だが、こんな記事もある。
大王製紙:前会長の巨額借り入れ 28日に判決
毎日新聞 2013年02月01日 東京朝刊
カジノで作った負債の返済のため連結子会社7社から計約55億円を借り入れたとして、会社法違反(特別背任)に問われた大王製紙前会長、井川意高(いかわ・もとたか)被告(48)の控訴審第1回公判が31日、東京高裁(小川正持裁判長)であった。弁護側は懲役4年の実刑とした東京地裁判決について「不当」と主張、執行猶予付き判決を求め即日結審した。判決は2月28日。
小川さんの最後の仕事になるのか?