読売の夕刊に小さく載った記事を見て驚いた。「週刊朝日」が「ハシシタ 救世主か衆愚の王か」と題した連載を開始し、それに対して橋下市長が「血脈主義、身分制に通じる極めて恐ろしい考え方だ」と批判し、朝日新聞の取材には応じないと言っていると書かれている。そして、その執筆者がかの佐野眞一とあったから驚きは倍加した。
緊急連載第1回が掲載された10月26日号の表紙には、橋下氏の写真が大きく使われ、その下に「ハシシタ 救世主か衆愚の王か」と「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」との扇情的な見出しがつけられ、グラビアにもカラー写真とともに、「佐野氏と本誌は橋下氏の血脈をたどる旅に出た」と連載の目的が記されている。
本文は6ページにわたり、「パーティーにいた謎の人物と博徒だった父」と題して、9月12日に行われた「日本維新の会」旗上げパーティーの模様と、会場で出会ったとされる90歳の老人のから聞いた話と、父親の遠戚にあたる人物のインタビューとで埋められている。
この後、どんな展開になるのかは知らないが、「またかよ」と思わざるをえない。「
文春」や「新潮」が橋下氏の出自を暴く記事を書いたのは2011年の10月。その前に上原某が書いているから、1年後の今になって、またぞろ出てくるとは思わなかった。目的や狙いや思いがどうあろうと、結局、三番煎じ、四番煎じを演じることにしかならないだろう。
名もあり、実もある大御所がこんなことで筆を汚すとは、血迷ったとしか思えない。部落差別の助長・拡散、人権侵害の拡大につながるようなことになれば、その責任は重大だ。