晩夏の暑さが残る嵐山。渡月橋をわたる風は初秋を感じさせる。桂川には舟遊びをする人たち。青い空には元気な白い雲が浮かぶ。川沿いの道を離れて小山を登ると亀山公園。かたわらに大きな石の碑。日中国交回復に尽力した周恩来の詩歌が刻まれている。それから93年、両国は尖閣諸島をめぐって緊張のただなかにあって、愛国心や民族感情が煽られ、勇ましい言葉も飛び交う。しかし、誰も本気でケンカすることなど望んでいないはずなのに・・・。
雨中嵐山
雨中二次遊嵐山,
両岸蒼松,挟着幾株櫻。
到尽処突見一山高,
流出泉水緑如許,繞石照人。
瀟瀟雨,霧濛濃;
一線陽光穿雲出,愈見嬌妍。
人間的万象真理,愈求愈模糊;
━━模糊中偶然見着一点光明,
真愈覚嬌妍。
(註:文中の嬌の字は原文では女へんに交わる)
雨の中を二度嵐山に遊ぶ
両岸の青き松に いく株かの桜まじる
道の尽きるやひときわ高き山見ゆ
流れ出る泉は緑に映え 石をめぐりて人を照らす
雨濛々として霧深く ・
陽の光雲間より射して いよいよなまめかし
世のもろもろの真理は 求めるほどに模糊とするも
――模糊の中にたまさかに一点の光明を見出せば
真にいよいよなまめかし