公開中の映画「あなたへ」は、高倉健205本目の出演だ。6年間の空白を経て返ってきた高倉健をNHKが、撮影現場を追い、高倉へのインタビューを行い、二夜にわたって特番で流した。映画は観てのお楽しみだが、削りとられて、研ぎ澄まされた一言のセリフがとても深く、重たい。
そして、旅の途中で出会う人たち。それぞれが織り込む人間模様に誘われるごとく、物語は進行する。日本のマチュピチュと言われる「竹田城跡」が素晴らしい。そして、随所にちりばめられた山頭火の句もいい。映画のラストはこれだ。「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」
妻の散骨を終えて、船を出してくれた大滝秀治の「久しぶりに、きれいな海ば見た」とのセリフに感動し、涙した高倉健。一度きりの本番に向けて、静かに熱くなる高倉健。「生き方が芝居に出る」、けだし名言だ。
今年3月に訪れた
山頭火・終の棲家「一草庵」のHPもみてください。