詩人に
詩人よ!ひとの世のあまき取りざたにとらわれるな。
狂えるごとき称(たた)えの声もつかのまのぎわめきにすぎぬ。
うつけ者のそしりや つめたい衆愚のあぎけりを聞くとも
おのが心をかたく しずかに おごそかにたもて。
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汝は帝王ゆえに ひとり生きつつ
自由な道を自由な智恵のみちびくかたにゆけ。
その気だかき仕事の報いを求めることなく
おのがいつくしむ思いの実りをみのらしめよ。
報いは汝の心にひそむ みずからの上なき審判人(さばきびと)なる
汝はたれより厳しくおのが仕事の価を定め得る。
おのれにきびしき芸術家よ 汝の仕事に満ち足りるか?
満ち足りるのか? では衆愚をしてそれを罵らしめよ。
汝の火のともる祭壇につばきを吐かしめよ。
心なき戯れのままに汝の三脚台をゆるがしめよ。