ホタル:夏の思い出、城崎温泉・大谿川に100匹舞う 再生の会「鑑賞を」/兵庫
城崎温泉街の大谿(おおたに)川(豊岡市城崎町湯島)に、今年もホタルが舞い始めた。ホタルのすみやすい環境づくりに取り組んでいる「城崎温泉大谿川ホタル再生の会」は「地域のみなさんや観光客に鑑賞してもらい、夏の思い出になれば」としている。再生の会によると、今月1日から飛び始めた。10日以降は二十数匹になり、12日には約100匹飛んだという。昨年は6月14~25日に乱舞した。今年は気温が低いため、多くのホタルが飛ぶのは昨年より2~7日遅れる可能性があるという。
【毎日新聞 2011年6月14日 地方版〔但馬版〕
家が貧しく灯油が買えなかったので蛍をたくさん集め、その光で勉強をした、そんな故事が「蛍雪」という言葉にはこめられている。「蛍雪時代」という受験雑誌を想起するが、いわば、そのような表現が実体験と重なるところがあり、ある種のノスタルジーを伴う。しかし、時代は変遷を重ね、そうした風景は失われるに至った。そして、今、その風景が人々の努力によって、あちこちで再生されている。
それにつけても、人間とは本当におかしな生き物だ。自ら破壊したり、亡き物にしたのに、それを復活・再生するのだから。はなから、そんな愚をしなければいいのにと思う。試行錯誤と言えば聞こえはいいが、そうではないだろう。安楽と快適と利便など、今日的な価値観にどっぷりと浸かった結果だろう。
原発事故もそうだが、警鐘を鳴らす人々はいつもあった。しかし、その声は多数者によってかき消されてきた。それが、今、正しかったことがわかり、人々は恥じている。蛍も同じだ。蛍が生きていける環境を破壊した過ちに気づいた人たちが、再生・復活にたちあがったのだ。過ちを改めるに遅きに失することはない。だから、今すぐできることは今すぐにやるべきだと、改めて思う。