「糾弾」の第2回は、事件現場の地元のムラ・立花町の人々が辛酸をなめるくらしをしてきた古老の聞き取りからはじまる。被差別部落であるがゆえに背負わされた宿命的な枷と、その中で這い蹲るかのごとく命を紡いできたのは、立花町も例外ではなかったし、その悲惨と被虐の歴史を逆転させたのが、部落解放運動であったこともまた然りだ。
そして、今回の「事件」に先立ち、これまでに同じような事件があったこと、「事件」を起こした人物は次期支部長に期待されていたことなど、驚きを禁じえない事実が明らかにされてもいる。
連載のサブタイトルに「部落差別ハガキ自作自演事件はなぜ起きたか」とあるように、「事件」の真相(深層)解明が目的であることはいうまでもない。しかし、第2回を読みながら、「一体、どのような読者をターゲットにして、何を語ろうとしているのだろうか?」との想いがよぎった。
部落問題に関心のある人々ではないことはもちろんだが、いわゆる広く一般大衆であるのだろう。「自作自演事件」という、部落解放運動にとっておぞましく、恥部をさらすような事件を抉り出すことによって、部落問題の現在の何を伝えることができるのか、私にはわからない。眉を潜めさせることはあっても、問題を直視し、わたくしごととして考える材料の提供につながるのかしらと思う。